友達におよねと同じように親族に食いものにされてきた人がいる。やはり人を信じるのをとても怖がっている。もうこれ以上傷つくのがいやなのだ。その気持ちはとてもよくわかる。赤ひげは父親に捨てられ母親に死に別れ、誰にも大切にされてこなかったおよねに自分の方が誰かを大切にすることで愛を育むことを教えようとしたのだろう。もちろん鶴之助が行ってしまうことも織り込み済みである。しかし文句も言いたい。赤ひげに「自分を支えているもの」など語らせてほしくはなかった。今回の話は同じ山本周五郎の『人情裏長屋』がもとになっている。「幼なじみ」の時は『将監さまの細みち』だった。原作を読んでいれば『赤ひげ診療譚』にシーズン２を制作するほどの話がなかったことは明らか。だからほかの小説を使うのだろうが『人情裏長屋』はすでにドラマ「子連れ信兵衛」がある。オリジナルのストーリーを創作してほしい。それが原作者を大切にすることだ。