今回は親と子の在り方がテーマ。親に早く死に別れおばに食い物にされたおゆみをバックグラウンドに、働き者で実直ながら母親に愛されてない次男の辰蔵と口だけうまくて放蕩者なのに母の愛を集める伸吉が主人公。人間はみな愚かなものだがそれが親になると子供はこんなにも被害を受ける。親と縁を切れば楽になるのだが、なかなかそうはできない人間の苦しさ。この話で思い出したのは友人の言葉だ。彼女は平気で「ふたり息子がいるけどあの子の方が好き」と言い放っていた。親から疎んじられた方の子供である私は「人の子の親というものはこんなにも無神経なんだな」と思った。この東ちづる演じるおまさも別に悪人ではない。ただ愚かなのだ。それでも辰蔵は母を見捨てないし、伸吉は母の愛を失ってもいい覚悟で弟を取った。こんなに子供たちが葛藤したのに詫びの言葉も感謝の言葉も口にしないのが親なのだ。また、赤ひげも若い医師らの「親」でこちらは賢い。